- 2010年1月 2日 13:05
「人間の運命(五木寛之)」より
(P195~197より)
過去を変えることはできない。
現在に生き方は、なんとかなるかもしれない。
しかし、そこには何らかのきっかけが必要だ。
いま私が求めているのは、現在、宗教として世間に知られていいるのではなく、
もっと根本のところで自分を勇気づけてくれる力だ。
(ざっくり)
自分の心の不安やおそれは、そのままでいい。それを治療してほしいわけで
はない。心に厄介な重荷をかかえながら、心身に苦痛をおぼえつつ、それでも
それにおしつぶされずに毎日を生きていくことのできるエネルギーを求めてい
るのである。
それを何といえばよいか。
(ざっくり)
闇を照らす光。光がさせば、陰が消えるわけではない。悩みや不安が解消
されるわけではない。せおっている荷物が軽くなるわけでもない。病気や人間
関係のトラブルがなくなるわけでもない。
ただ、あたりが見える、そして自分の行先が見える、それだけのことである。
(P204 あとがきより)
思いとおりにならないもの、というのが渡井の人生に対する見方である。
そして、そのことをはっきりと認め、目をそらさずに直視することからした人は
行動できないのではないか。
ありのままの現実を、勇気をもってはっきり認めることを、「あきらめる」という。
諦める(あきらめる)、という言葉を、私は自分流に読みかえて、
「明らかに究(きわ)める」と読んでいる。
どんなに嫌なことでも、不快なことでも、そこから目をそらすわけにはいかない。
しっかりと現実をみつめ、そのありのままの姿を見定めることが第一歩なのだ。
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